禁断のプロポーズ
 店の人間が下がるのを待って、再び、未咲は口を開く。

「それで、なにかご存知かな、と思いまして」

「いや……俺にも理由はわからない。

 しかし、あいつに妹が居たとは初耳だが」

「一緒には住んでなかったですからね。

 でも、だからこそ、気になるというか。

 なんで、あのおねえちゃんが自殺したのか、まったく理由がわからなくて」

 それを知りたいと思って、あの会社に、と言うと、

「そんな理由で、ぽっと入れる会社じゃないだろう」
と言う。

「それはあの、ま、ちょっとツテがありまして」
と言い、未咲は、ふぐ皮の煮こごりを口にした。

 こちらを窺いながら、夏目は、
「姉よりも得体の知れないやつだな」
と呟く。

「いや〜、それ、平山さんにも、よく言われるんですけど。

 会社に入れた理由も、種明かしするとくだらないことなんで」

 もちろん、今、その種明かしをするつもりはないが。

 夏目はもう一度溜息をついて言った。

「自殺の理由ね。
 平山桜には訊いたのか」

「まだ訊いてないです」

「なんでだ。
 平山はあいつと親しかっただろう」
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