禁断のプロポーズ
「お前もか」
と言われ、

「……なんでですか」
と睨む。

「俺はお前と智久の方が似てるというか、息が合ってる気がしてるが」

「嫌味ですか?」

 夏目は振り返り、ちょっと冷たい目で、こちらを見て言った。

「……智久の家に行って、本当になにもなかったのか?」

 いや、そもそも、なにもなかったなんて言ってないし、と思いながら、引きつり笑いを浮かべていた。

「なにもないし、私の心は動かないですっ」
と夏目の腕にしがみつくと、

「なにかあったんだな」
と言われる。

「あったって程のことはありません。
 あんなの、ライオンにじゃれられてるようなもんですっ」

「お前、今回は俺が付いて行ったんじゃ、喋らないだろうと思ったから行かなかったが。

 二度と、智久の家には一人で行くなよ」

 もちろんですっ、とは激しく頷く。

「だいたい、私が智久さんを好きになることはありません」

「なんでだ?」

「だって、考えてみれば、智久さんを好きにならなかったのがおかしいんですよ」

 突然のそんな主張に、夏目が眉をひそめる。
< 309 / 433 >

この作品をシェア

pagetop