禁断のプロポーズ
 そうして、気分よく呑みながら、姉の周りの人間の話を聞いているうちに、今の社内の話になった。

「お前、広瀬専務についてるんだよな」

「そうなんですよー。

 この酒、水のようだって言うけど、ほんと、水みたいですよね。

 広瀬専務は怖いですよ〜。

 あんな顔なんだから、もうちょっと笑ったら、女子社員の受けも良くなると思うのに」

「顔は関係あるのか」

「ありますよ〜。

 知り合いが、警察に捕まったとき、ああいや、スピード違反でですけど。

 お巡りさんが格好良くなかったから許せないって言ってました。

 課長、もう呑まないんですか?」

「ちょいちょい酒の話を混ぜてくるな、混乱する」

「そうですか。
 私は、次は、上善如水で」

 はいはい、と夏目は諦めたような相槌を打つ。

「ま、殺しの広瀬って言うくらいだからな」

「は?」

「殺し屋みたいな目をしてるだろ、広瀬専務」

「隙がないから、怖いですよね。

 お客様の前で言い間違ったときとか、めちゃくちゃ怒られましたよ〜」

「それはお前が悪いだろう。
 ところで、俺と結婚するのか?」

「はい?」
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