禁断のプロポーズ
「お前、そう言ったろう?」

「……言いましたね」

 勢い余ったとも言いましたが。

 いや、言ってはいないか。

 夏目は、もうその話は忘れていると思っていたのだが。

 未咲は腕を組み、目を閉じると、うーん、と唸ったあとで言った。

「考えさせてください」

「待て。
 プロポーズしてきたの、お前だよな」

 考えさせてくれってなんだ? と言われる。

「いや、そうなんですけどね」
と言いながら、少し呂律が回ってないかな、と思った。

 普段酔わないたちなのだが、いつもより、テンションが上がっている気がした。

 そんな状態で、こんな男前から、そんなこと言われたら、うっかり受けてしまいそうだ。

「ちょっとだけ、考えさせてください」

「もう一度言うが、お前がプロポーズして来たんだよな」

「そうですよ。
 あの、私、次は、久保田でお願いします」

 聞け、人の話、とペラペラの酒のメニューで頭をはたかれた。
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