禁断のプロポーズ
「佐々木、電話を貸せ」

 智久は早速、鑑定所に電話するつもりのようだった。

 こうと決めたら早いな、この人、と思う。

 自分と夏目がずっと決めかねていることを。

「俺はまだ動けないし、社長にも頼まないといけないから、ちょっと時間がかかるかもしれないが。

 夏目とお前は、明日にでも行ってこい」

「明日ですか」
と言うと、智久はこちらの顔を見て笑う。

「怖いか」
と。

「怖いですよ。
 大丈夫だって言いながらも」

 いざ結果を聞くときは、恐らく、足が震えるだろう。

 でも、大丈夫。

 きっと、大丈夫。

 兄妹じゃない、という意味じゃない。

 そうであったとしても、乗り越えられる、きっと。

 未咲は強く己れの手を握り締め、目を閉じた。

「私、やっぱり、会社に戻ってきます。

 荷物、置きっ放しだし」

「夏目に取ってきてもらえ。

 外に出るのはまだ危ないから」

 そのとき、佐々木の携帯が鳴った。

「……遠崎課長ですよ」
とそれを見た佐々木が言う。
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