禁断のプロポーズ
 そのまま、夏目の手が胸許に触れてきたので、

「あ、あの……会社行かないと」
と言ってみたが、

「こんなときに無粋なこと言うな」
と睨まれる。

「兄妹じゃない最後の日かもしれないのに」

「いやあの……、そんなすぐに鑑定結果出ないですよね。

 じゃあ、兄妹だったら、もうこういうことはやめますか?」

「それはそれで、兄妹でする記念すべき一回目だろう」

「……なんだか貴方が一番駄目な人のような気がしてきましたよ。

 でもーー

 やっぱり、貴方が好きです」

 瞳を見つめて、そう言うと、好きと言ったのに、夏目は少し渋い顔をし、

「お前、実は、弱ってる人間が好きなんじゃなくて、駄目な人間が好きなんじゃないか?」
と言い出した。

「いやー、ちょーっと待ってくださいよー。

 そもそも、その最初の定義が間違ってますからね。

 私、弱ってる人が気になるってだけで、弱ってる人なら好きってわけじゃないですからね。

 それにその理屈で言うなら、やっぱり、貴方が一番駄目な人ってことになりますが」
と言うと、

「お前が俺だけを愛してくれるのなら、それでいい」
と夏目は言い切る。

 その大真面目な顔に笑ってしまった。
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