禁断のプロポーズ
「ちょっと今から、カサカサッと片付けますので」

「カサカサッとって、ゴキブリみたいね」

 服を鞄に詰めながら、
「桜さん、あ、平山さん」
と呼びかけると、

「桜でいいわよ」
と言われた。

「ありがとうございます、桜さん。

 此処に私の家があること、内緒にしといてくださいね」

「誰にも言わないわよ。

 まあ、後をつけられるか、人事部のやつがもらすかしない限りは、大丈夫じゃないの?」

「そうだといいんですけどねー。

 あ、課長にも内緒にしといてくださいね」

「なに言ってんのよ。
 昨日、一緒に来たんでしょ」

「そうなんですけど。

 もしかしたら、酔ってて、覚えてないかもしれないじゃないですか」

「疑ってんの?
 遠崎夏目を。

 疑ってるのに、なんで一緒に暮らすの?」

「疑ってるから、一緒に暮らしてみようかと。

 ま、本人は違うって言ってますけどね。

 それに、自殺の原因になったってことをそこまでして隠す必要もない気がするんですよ。

 おねえちゃんの心の問題ですからね」

「謝罪するのが嫌なんじゃないの?」

 ドアにすがって桜は言うが。

「でも、私は、あの女が……」

 そこで、彼女は言葉を止めた。
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