禁断のプロポーズ
 


「ちょ、ちょっと待っててくださいね。
 片付けますから」

 玄関前でそう言った未咲に、桜は、

「あんたの部屋が散らかってるのなんて、見なくてもわかるわよ。

 あの机の上の乱雑さを見たら」

 よくあれで、何処になにがあるか、わかるわねえ、といっそ感心したように言う。

「あれ、配置変えるとわからなくなるんですよー」

 小さくドアを開け、素早く中に入ろうとすると、

「中に誰か居たらどうするのー?」
と桜は気のない声で訊いてくる。

「フライパンででも、殴ってください」

「フライパン、中に入らなきゃないじゃないの」

 そうぼやく声がドアの向こうから聞こえた。

 未咲は、急いで、ソファの上にあるものなどを片付ける。

「どうぞー」
と玄関に駆け戻り、ドアを開けた。

 ふうん、と中を見回した桜は、
「結構片付いてるじゃない。
 短時間で」
と言うが、

「いえいえー。
 押し込んだんですよ、いろんなところに」

 そう苦笑いして、未咲は答える。
< 41 / 433 >

この作品をシェア

pagetop