禁断のプロポーズ
 


「ただいま」

 玄関が開いて、夏目が姿を現す。

「お帰りなさい」
と言うと、少し驚いたように彼は顔を上げた。

「なにびっくりしてるんですか。

 私が居るの、わかってたんでしょ、鍵開いてるし」

「そうだが、玄関先に居ると思わなかったんだ」
と言い、夏目は靴を脱ぐ。

「ああ。
 今、ゴミ片付けてたんですよ」
と手にあるコンビニの袋を掲げて見せた。

「ゴミ?」

「桜さんとドラマ見ながら、食べて呑んでたら、足らなくなって、コンビニで買い足して、また、食べて呑んで」

 大量のゴミが出たのだ。

 はは、と笑うと、
「『桜さん』ねえ」
と夏目は呟く。

 急速に親しくなったな、と思っているのだろう。

 やはり、家を訪ねたり、二人で呑んだりすると、一気に親交が深まるものだ。

「あれっ?
 課長、もしや、それ、ご飯ですか?」

 夏目の手には、今、片付けているコンビニの袋と同じものがあった。

 やけに小さい。

「足りなくないですか?」
と言うと、

「いや、コンビニに行って、弁当や惣菜の匂いを嗅いだら、食欲がなくなって」
と言う。

「ずっと食べてると飽きますよね。

 ちょこっとしたものでよかったら、作りますよ」

「……作れたのか」

「殴りますよ」
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