禁断のプロポーズ
 


 此処は、もともと夏目の祖母の家というだけのことはあり、古いが。

 綺麗にしてあるので、なんというか、今、流行りの昭和レトロっぽい。

 台所もそんな感じだ。

 こういうタイル張りに、わざわざリフォームした子、居たもんな。

 ガスで料理するのも久しぶりだが、炒飯なんかはやっぱり、ガスで作る方が美味しい気がする。

 ……だから、作ってみたかったんだが。

 夏目がテレビをつけたらしく、スポーツニュースの声が聞こえてきた。

 なんだかこうしてると、家族っぽいな、と思ってしまう。

 なにしに此処に居るのかも忘れて、和んでしまいそうだ。

 紐を引っ張って、古い換気扇を動かしていたのだが。

 揚げ物をしていると暑くなってきたので、目の前にある小さな窓も開けてみる。

 そこには、木製の網戸がはまっていた。

 庭の木々が風に揺れ、虫の声が聞こえてくる。

 心落ち着く情景だ。

 おねえちゃんは、なんで死んじゃったのかな、と思った。

 もし、おねえちゃんと遠崎夏目が付き合っていたのなら、おねえちゃんは此処に立って、この光景を見たのだろうか。

 それでも、おねえちゃんの心は和まなかったのだろうか。

「おい」

 いきなりした声に、ひゃっ、と可笑しな声を上げてしまう。

 声をかけた夏目の方が驚いたようだった。
< 46 / 433 >

この作品をシェア

pagetop