禁断のプロポーズ
此処は、もともと夏目の祖母の家というだけのことはあり、古いが。
綺麗にしてあるので、なんというか、今、流行りの昭和レトロっぽい。
台所もそんな感じだ。
こういうタイル張りに、わざわざリフォームした子、居たもんな。
ガスで料理するのも久しぶりだが、炒飯なんかはやっぱり、ガスで作る方が美味しい気がする。
……だから、作ってみたかったんだが。
夏目がテレビをつけたらしく、スポーツニュースの声が聞こえてきた。
なんだかこうしてると、家族っぽいな、と思ってしまう。
なにしに此処に居るのかも忘れて、和んでしまいそうだ。
紐を引っ張って、古い換気扇を動かしていたのだが。
揚げ物をしていると暑くなってきたので、目の前にある小さな窓も開けてみる。
そこには、木製の網戸がはまっていた。
庭の木々が風に揺れ、虫の声が聞こえてくる。
心落ち着く情景だ。
おねえちゃんは、なんで死んじゃったのかな、と思った。
もし、おねえちゃんと遠崎夏目が付き合っていたのなら、おねえちゃんは此処に立って、この光景を見たのだろうか。
それでも、おねえちゃんの心は和まなかったのだろうか。
「おい」
いきなりした声に、ひゃっ、と可笑しな声を上げてしまう。
声をかけた夏目の方が驚いたようだった。