禁断のプロポーズ
 



 あの人は無理です、と言った祟りか。

 朝、エレベーターに飛び乗った未咲は、中に広瀬専務が居るのに気がついた。

「お、おはようございますっ」
と頭を下げたが、

「おはよう」
と短く返される。

 今更、降りるわけにも行かず、未咲は出来るだけ、エレベーターの隅に行き、小さくなっていた。

 安全のためにか、役員室にまで上がれるこのエレベーターには、防犯カメラがついているようだった。

「調子はどうだ」

 前を見たまま、智久が訊いてくる。

「悪くないですっ」

 ……軍隊か、と未咲の口調に智久は呟く。

「今日はなにをひっくり返して、余計なことを言うんだろうな」

 まるきり他所を向いて、智久は溜息をついて見せた。

 うっ、と未咲は詰まる。

「お前の失態は俺の失態だ、気をつけろ」

 はい、と未咲は頭を下げ、降りてく智久を見送ったが、扉が閉まる寸前、智久が振り返る。

 ん?

「あっ、降ります降りますっ」

 そうだ。
 広瀬専務の部屋に行くんだった。
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