禁断のプロポーズ
「あ、課長。
 朝ごはん作りましょうか」

「構うなと言ったはずだ。
 あと、課長はよせと……」

「夏目さん」

 最後まで言わせずに、そう呼んだ。

「私が作りますよ。
 ご厄介になってるんだから」

「いい、俺が作る」

 顔を拭きながら、夏目は言う。

「なんでですか」

「お前はとろそうだからだ。
 自分の支度をしろ。

 俺が作ってやる。

 暇なら、土日はお前が作れ」

「えー、でも」

「でもじゃない、早くしろ。

 それから、早く出ろ。
 お前秘書だろ。

 秘書が重役出勤してどうする」

「はーい。
 わかりました」

 釈然としないながらも、夏目がご飯を作ってくれている間に、身支度を整えた。

 家に住まわせてもらって、ご飯まで作ってもらって。

 しかも、美味しい。

「ありがとうございます、夏目さん。
 死ぬほど幸せです」
と言うと、

「……莫迦か」
と言いながら、夏目は笑う。

 こういう顔はやっぱり好きだな、と未咲は、ぼんやり思った。
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