禁断のプロポーズ
「なんですか?」

「お前が先に言え」

「こっちばっかりですね〜。

 課長が握っているのが、よっぽどのネタじゃなかったら、殴りますよ。

 ご想像通り、日記を取られたって言うのは嘘です」

「此処に入り込むための嘘か?」

「なに言ってるんですか。

 課長が此処に住めと言ってくれるなんて、思わないじゃないですか。

 うっかりしてたんですよ」

「うっかり?」

「ソファの上に日記を置いてたと思ったんですが、違ったんです。

 すぐ気付いたんですが、ちょっと、引くに引けなくて」

「……じゃ、その日記は何処にある」

「今、此処にはありません」

「貸金庫に預けてあって、開くと爆発するんじゃないだろうな」

「映画の見過ぎですよ、課長」

 夏目はそこで溜息をつき、
「日記、取られたんじゃないのなら、俺の推察も違うかな」
と言い出した。

「なんですか?」

「もし、誰かにそれを取られたのなら、やっぱり、お前の姉貴が死んだことには、なにか秘密があるんじゃないかと思ったんだ」

「やっぱりって、なにか思い当たる節でもあるんですか?」
< 79 / 433 >

この作品をシェア

pagetop