禁断のプロポーズ
「あるな。
 だから、お前を此処に連れてきたのは、保護する意味もあったんだ。

 お前が本当にあいつの妹で、無防備に、真相を求めて、うろついているだけの奴なら」

「ま、確かに、無防備ですかね?

 こんな、たいして顔を合わせたこともない人のところに泊まるくらいですから」

「いや、そうでもないぞ。

 夜這いでもかけようものなら、懐からなにか出してきて反撃してきそうな雰囲気がある」

 くノ一か、と思いながら、
「しませんよ」
と言うと、

「今、キスしても?」
と夏目は、さらりと訊いてきた。

「いや、……それはするかも。

 っていうか、貴方の話ってそれだけですか?」
と話題を逸らすように言ってみる。

「いや、実は、お前が現れて、おかしな動きをし始めて。

 それで思い出したんだ。

 死ぬ数日前、あいつの様子がおかしかったのを」

「え」

「本当に自殺だったんだろうかな」

 顎に手をやり、考える風な仕草をした夏目は、大真面目な顔をしたまま、言った。

「本当に、今、キスしたら、刺す気か?」

「なに言ってんですか、もう〜」
と未咲は立ち上がる。

 ちょっと身の危険を感じたからだ。

 まあ、一緒に住んでおいて、今更、そんなことを言うのもなんだが。
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