空っぽのイヤホン(仮)
目が覚めると、まず最初に真っ白な天井。

次に薬品の匂い、と、暑さ。

「あら、起きてたの?」

カーテンから顔を覗かせた養護教諭の愛子先生がふわりと微笑む。

愛子先生は、お父さんのイトコの子供。
私からしたらハトコになるのかな。

「今起きました。」と言うと
冷たい手をおでこに押し当てられた。

「ちょっと…暑い…かな?」

「先生冷え性だから信用できない。」

もー、と困ったように笑うその顔は
同級生にいてもおかしくないくらい幼くて
可愛い。

「熱中症かなぁ、それか貧血。」

「うん。」

「みっこちゃん、ちゃんとご飯食べてる?」

「…うん。」

「あ、今間があった!
ちゃんと食べなきゃダメよー。」

朝と夜は食べてるよ、と言うと
愛子先生は眉を下げて困った顔をした。
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