空っぽのイヤホン(仮)
そのとき予鈴が鳴って、周りに人がいないことに気づく。

「やば!」

バタバタと教室に向かって走る途中
もう1度後ろを振り返ってみたけれど

聖奈さんの姿はもうなかった。

(…どうして、別れてくださいなんて。
それに、話せないってどういうことなんだろう。)

今日は雨だから、きっと屋上に五十嵐は来ない。

いや、雨じゃなくても、昨日の気まずさで私が行けなかったと思う。

今更になって恥ずかしさがジワジワと襲ってくるから
私はふるふる、と頭を振った。

教室に入ると、まだホームルームは始まっていなくて

目が合った沙代が「セーフ」と口パクで伝えてくる。

私が笑いながら席に着くと、ちょうどのタイミングで先生が入ってくる。

窓の外をボーッと見やって、雨の雫が窓に当たるのをただ眺めていた。
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