空っぽのイヤホン(仮)
「愛子先生、次の授業サボっていい?」

「いいことはないけど…。
今日は特別ね?
先生には貧血って言っておくわ。」

ありがとう、と呟いたのは
もうすでに布団の中。

温かいミルクのおかげでウトウトしてしまう。

ふわ、と愛子先生が私の頭を撫でるのがわかった。

「みっこちゃんが幸せになりますように。」

先生の柔らかな声は、余計に私を微睡みの中に誘う。

ねえ、先生。

私、ほんとに五十嵐が好きなの。

だから、内緒にしてね。
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