空っぽのイヤホン(仮)
みっこちゃん、と私を呼ぶ声と
軽く揺さぶられる気配に目を覚ました。

瞼をゆっくり開くと、愛子先生のホッとしたような顔。

「案外ぐっすり眠っちゃってたね。
ほら、もう授業おわる頃だから起きなさい。」

布団を取り上げられて、渋々上体を起こす。

「…まだ眠たい。」

「これ以上はダメよー。」

保険記録カードに先生が『貧血』と書いて、手渡してきたのを受け取るとき
ふと外を見た。

土砂降り。風はあまりなさそうだけど
ザーザーとノイズのような雨音が聞こえる。

さっきよりも明らかに強くなった雨が
なんだか不吉なものを予感させる。
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