冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
(10)

 クルセルト国は、本格的な冬を迎え、雪が降る日がおおくなった。

 季節風のかげんか、オニギスよりは寒さがきびしい気がする。

 リューリは窓につもった雪をながめた。



   「今日の午後のお茶会も取りやめになりました。
    カーロイル伯爵夫人は、寒さで体調をくずされている
    とのことです。」

   「そう、わかりました。」



 最近、雪や体調を理由に、午後のお茶会が取りやめになることがふえた。

 確かにそうなのかもしれないが、本当は貴族達は自分に関心を失ったのだと
 リューリは気がついていた。



 同じ王城にいるシルビアのところへ皆、足を運んでいるのだ。


 子を生さない皇妃などよりも、次期王を生むかもしれないシルビアの
 方に取り入っておく。

 王族として育ったリューリは、貴族がそういった考え方をするものだと
 よくわかっていたし、裏切られた気持ちもわかなかった。



 先に裏切ったのは、私の方かもしれない。

 子を生すことを拒否したのは自分なのだから、、、。

 リューリはそう思った。



 
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