冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
それから度々、アシュレとリューリは共に馬を走らせるために、
城をでるようになった。
最初のときのような、大げさなものではなく、王城の近くを
護衛の者を二人ほどつれただけのものだったが、リューリはむしろ
その方がうれしかった。
馬を走らせ、少し休憩をする。
休憩の間、二人は民の生活について、よく話した。
王族とはいえ、母親が庶民の出で、使用人にかしずかれてというよりは
使用人と共に育ったリューリは民の生活にくわしかった。
アシュレが質問し、リューリがそれに答える。
リューリの話しに、アシュレはいつも興味をもって耳を傾けてくれた。
「また陛下から遠乗りのお誘いでございますよ。
うれしゅうございますね。」
エルダは大喜びだ。
もう一人喜んでいる人物がいた。
イーノックだ。
アシュレをみてニコニコしている。
「なんだ、気持ち悪い。」
「いえ、夫婦らしくおなりだなと思いまして。」
「ふん。」
夫婦らしく、、、そう見えるかもしれないが、アシュレは未だに
リューリを抱いてはいない。