キャラメルに恋して




「ちょっと隼人……。家どこなわけ?」


「ん~…、東町の新しく出来たマンション」


「ふーん。そこなら家からけっこう近いね」




ふるふると小刻みに頷いているのか、腕から振動が伝わってくる。


この絵図……、絶対おかしいよね?


どう見ても、親にすがりつく子供みたいだもん。


こんなの見られたら、隼人の株も一気に下がっちゃうね。



………私としては嬉しい事だけど。




よく見ると暗い道はほんの一部だったらしく、


あたりはマンションを建てたときについでに付けられた街灯の灯りで、すっかり明るくなっていた。



「………っや」



急に体が軽くなってよろめくと、強い力で引っ張られた。


驚いて隼人の方を見ると、もう大丈夫らしく「大丈夫?」だなんて人の心配を……。



いったい、誰のせいでこうなったと思ってるの?



さっきまで隼人の体重がかかっていた体半分は、体育祭の後のように重くなっていた。





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