キャラメルに恋して
唐沢って人は、教室のドアにもたれてかかっていて、私が近づくと「ちょっと屋上に来て」そう言われ、手首を摑まれ引っ張っていかれた。
「ちょっと……」
「黙って」
私が痛くないように少し緩めて掴んでいると思われる腕。
男の人の歩幅って大きいって言うけど、今歩いているスピードは全然速くないって事は、ゆっくり歩いてくれてんのかな?
屋上へと続く階段を上っていく。
頑丈そうな屋上のドアを開けると……。
――――――ピュ―
寒そうな北風が吹いていた。
めったに人の来ない学校の屋上には、お菓子のカスなんかが転がっていて、サボりしは快適そう…。
そして今思ったんだけど、ココって告白スポットで有名じゃなかったっけ?
もしかして……わ、私、告白されるの!?
そんな事を思ってたら、私の意志とは関係なく顔が赤くなってしまった。
それに比べて、この唐沢って人は緊張も糞もない……みたいな顔して。
私が緊張してどうすんのよ。
「唐沢……くん、用って何?」
出来るだけ冷静を保ちながらも、やっと出た一言。
「あぁ。浅木ってさ、智(さと)先輩と別れたって聞いたんだけど……まじ?」
……智先輩ってのは、元彼。もう噂、広まっちゃったのか……。
「本当だけど……。何?用ないんなら帰るけど………」
そう言って私は唐沢に背を向けて帰ろうとした。
「…………俺、浅木の事が好きなんだ。で、よかったら付き合ってくれないか?」
私は、体を向き直し唐沢の目を見た。
唐沢の目は、真剣そのもので強い意思が伝わってきた。