キスより甘くささやいて
翌朝、私は山猫の2階のトオルの家のソファーベットで目を覚ます。
昨日は、トオルの前に立ったら、涙がこぼれ落ちた。
トオルは私の頭をポンポンとたたき、
2階に連れていって、バスタオルとスウェットを貸してくれた。
「あたしは仕事があるから、シャワー浴びて、ここで寝なさい。」と言って、いなくなった。
紫色のラメが入ったスウェットの上下は、
とてもトオルらしくて、チョット笑える。
私は涙を流しながら、笑うことができた。
今度泊まるときがあったら、スウェットは自分で用意しよう。
と思いながら、眠りにつく。
私は大丈夫。
颯太と一緒にいることができなくても、
きっと、ちゃんと生きていける。


外はまだ暗いけど、朝の気配がする。
私は起き出して、店に降りる。
シルビアママはテーブルに伏せて眠っている。
昨日は、個人的なパーテイーが開かれてたみたいだ。
オネーサンかオニーサンか性別のよくわからない人々がそこかしこに転がっている。
うーん。お酒くさい。
私は顔をしかめてから、まだ起きていたテツヤ君に声をかけ、
散歩に出ることにした。
スウェットにコートを羽織ったけど、結構寒い。
私はチョットだけ後悔しながら、
少しずつ、明るくなった空を見あげ、海に向かう。
息が白い。




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