能あるイケメンは羽目を外す
陽斗の目は強い意志を持っていて、何があっても揺らがない気がした。

でも……そんな彼を見てると辛くなる。

本当はデザイナーの仕事を続けたかったんだと思う。

陽斗が背負うことになる義務と責任は大きい。

不慣れな世界への不安もあるはずなのに、彼は弱音を吐かず前を見据えている。

「……陽斗……私は……もう大丈夫だよ」

陽斗の目を見つめながらそう呟くと、私は彼の首に両腕をまわす。

「火傷してるのに?そんな潤んだ瞳で俺を見て誘惑しないの。もっと火傷することになるよ」

暗に陽斗と身体を重ねても大丈夫だと伝える私を彼はたしなめる。

「……いいよ。私……陽斗にもっと近づきたい」

「楓……」

陽斗が戸惑いの表情を見せる。

こんな時だからこそ彼のすぐ側にいたい。
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