能あるイケメンは羽目を外す
バスローブを脱ごうとすると、俺の目に真珠のイヤリングが映りハッとした。

昨日、楓がつけていたものだ。

俺はイヤリングを手に取ってじっと眺める。

アンティークなデザインで……控えめだけど上品な雰囲気で……。

まるで楓みたいだなと思った。

きっと大事な物だろう。

それを忘れて帰るなんてよほど慌てて帰ったらしい。

俺と朝顔を合わせたくなかったのだろう。

昨夜の事は、お互い合意の上だった。

彼女はお酒を飲んでいたが、泥酔していたわけではない。

昨夜の事は全て覚えているはず……。

手の中のイヤリングを俺はギュッと握り締める。

楓はもう俺と会わないでいる気だろうが、そうはさせない。

必ず見つけ出して俺のものにする。

「忘れ物はちゃんと本人に届けないとね」
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