能あるイケメンは羽目を外す
杉原の言葉に軽い調子で相槌を打つと、楓に向かって柔らかな笑みを浮かべる。

「あなたは少しは反省してちゃんと仕事して下さい」

杉原が眉間にシワを寄せる。

「気が向いたらね。じゃあ、杉原送ってってくれる？」

「全く、いつになったら本気で仕事をするのか……」

溜め息をつきながらぶつくさ文句を言う杉原を無視して、俺は楓を抱き上げる。

「ちょっと‼はる……専務‼」

俺の行動に驚いた楓が、俺の胸に手を当て抗議する。

「大人しくしてて。杉原の前でキスされたくなかったらね」

楓の耳元で意地悪く告げると、彼女は俺を恨みがましい目で見ながら黙り込む。

そんな彼女を抱き上げたまま、俺達は車まで移動して杉原の運転でまず彼女の家に向かった。

楓のアパートの前に杉原が車を停めると、彼女は車のドアに手をかけ俺の目を見ずに頭を下げる。
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