Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 二人ともただ黙って、自転車を置いてある第2グラウンドまでの歩を進めた。何からどんなふうに話をしたらいいのか、お互い模索していた。


 第2グラウンドにある部室が見えてきたところで、二俣の方が先に口を開いた。


「みのりちゃん、遼ちゃんが法南大学行くのに、どれだけ励ましてくれて力を尽くしてくれたよ?それなのにあんなこと言ったら、みのりちゃん、がっかりするだろうし悲しむと思うぜ。」


 二俣のこの諫言に、遼太郎は息を呑んだ。ガツンと頭を殴られた気がした。

 法南大学への指定校推薦が決まった時、みのりが喜びのあまり涙ぐんでくれたことを、遼太郎は思い出した。

 本当ならば、自分で気が付かなければならないことだ。それなのに二俣に言われるまで、そのことに思いが及ばなかった不甲斐なさに、遼太郎は情けなくなった。


 みのりと釣り合う男になるためには、大学へ行って、ちゃんと就職しなければならないことは分かっていたはずだ。
 そのために自分は努力してきたはずなのに…。


 けれども、目の前の感情に流されてしまうのも、それほどみのりの想いが強くて深いからにほかならない。
 自分でも気づかないうちに、その想いの深さに溺れてしまいそうになっていた。


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