Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「一日だって、みのりちゃんの側を離れたくない…って気持ちも、解らなくもないけどよ…。」


 二俣は言い過ぎたと思ったのか、遼太郎の気持ちを思いやって、そう付け足した。

 遼太郎はそんなふうに大事なことを忌憚なく指摘してくれる、二俣の好意が本当にありがたかった。お互いが親友だと思い合っていなければ、言えないことだろう。


 遼太郎は口角を無理に引き上げ、笑い顔を作る。


「…いや、ふっくんの言ってくれてる通りだと思う。先生には後でちゃんと話をするよ。」


 それを聞いて、二俣は安心したように微笑み返した。


 部室の横に駐めてある自転車を引っ張り出している二俣の背中に、遼太郎はさらに言葉を投げかけた。


「…ふっくんには、本当に感謝してるよ。」


 二俣が目を丸くして振り向く。
 面と向かって、こんなことを改めて言うのは気恥ずかしかったが、遼太郎は二俣を真っ直ぐに見つめた。二俣の方も少し恥ずかしそうに、大きな目をクルリとさせ、肩をすくめた。


「これからはお互い別々の大学に行くから、細かいことは分からなくなるけど。遼ちゃんが俺の一番の友達なのは変わらないし、またいつでも相談に乗るからな。」


 二俣は自転車のハンドルを片手に持ったまま、もう片方の腕を遼太郎の肩へと回し、グッと力を込めた。


< 102 / 775 >

この作品をシェア

pagetop