Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……その、俺が大学なんて行きたくないって言ったことです。」
心の中に巣くっている憂いごとを持ち出されて、みのりは思わず体を硬くする。
「先生の側にいたいって言うのは嘘じゃないけど、大学にはちゃんと行きますから、心配しないでください。」
「…うん。」
遼太郎のその言葉を聞いて、みのりは胸につっかえていたものが取れたような気がして、少しホッとした。
「遼ちゃんは、指定校推薦で大学に行くんだから、行かないわけにはいかないし、大学でもしっかり勉強してもらわなきゃね。」
「…はい。」
改めてみのりにそう言われて、遼太郎は自分が追う責任の重さを痛感した。
自分が法南大学でそれなりの成績を修めなければ、次年度から芳野高校への指定校推薦の枠がなくなってしまうかもしれない。
初めから入学を辞退するなんて、もってのほかだ。
物理的な距離は遠くなってしまっても、みのりと永遠に会えないわけでもないし、心が繋がっていれば乗り越えられる…そう思えばいいことは遼太郎にも解っている。
それでも、それは解っているけれども、少しでも長くみのりの側にいたいという気持ちは強まるばかりで、もうどうしようもなかった。