Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そこまで思いが至ると、遼太郎の鼓動は、一気に速く大きくなる。みのりを捉える視線にも、熱が帯びてくる。みのりはその視線に射抜かれて、赤くなった顔を逸らし体を硬くした。
遼太郎が卒業アルバムを閉じ、自分の中の衝動を行動に移すか否かを迷っていると、遼太郎の眼差しに耐えられなくなったみのりが、逃げるようにソファを立った。そして、テーブルの上にあったプリンが載せられていた皿を片付け始める。
それにより遼太郎の欲望は挫かれてしまったが、張りつめていた緊張からも解き放たれる。遼太郎は息を吐いて、チェストの上に置かれた時計に目をやった。
楽しく過ごす時間は本当にあっという間で、特に何をして何を話したというわけでもないのに、時計の針はもう3時を指そうとしていた。
「…先生。夕方って言ってたけど、何時まで居てもいいですか?」
遼太郎にそう声をかけられて、みのりは皿を洗う手を止めた。
送別会は6時半からなので、5時から準備をしても十分間に合う。けれども、その前にみのりはしなければならないことがあった。
唇を噛んで、覚悟を決める――。
「うん…。4時半くらいまでかな?」
手が震えて皿を落としてしまい、ガチャン!と激しい音が鳴った。