Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
日はずいぶん傾き、長い影を作り始めていたが、まだ春の麗らかさの余韻が残っていた。
道下の河原には菜の花が満開で、川沿いの土手の上の桜はこれからが見頃だ。そんな穏やかな空気の中、ただ二人は無言でゆっくりと歩いた。
離れ離れになる時間が、刻一刻と迫っている。
このまま数か月間会えない時間を過ごさねばならないと思うと、遼太郎は居ても立ってもいられない気持ちになる。
体では繋がれなかったけれども、心は繋がっている――。
それを確認してから、みのりのもとを旅立ちたかった。そのための言葉を探していたその時、
「……遼ちゃん……。」
と、みのりの方から口を開いた。
自分を呼ぶ切なさをはらんだその響きに、みのりも名残を惜しんでくれていると、遼太郎は感じ取った。
返事はせずに、ただ優しい視線をみのりへと向けて、静かにその先の言葉を待つ。
見つめられたみのりは、まだキスの余韻が残る唇を噛んで言いよどむ。
そして、決意を固めたように目を閉じて、言葉を絞り出した。
「…もう、遼ちゃんが大学生になったら、こんなふうに会うのはやめにしよう。」
その意味を解しかねて、遼太郎は絶句する。