Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
黙り込んだ思考の中は、混乱して整理がつかない状態だった。ただ、悪い予感が足元からじわじわと、遼太郎を蝕もうとしていた。
「……どういうことですか?」
静かな声だったが、言葉の響きは遼太郎の動揺を映している。
「付き合うとか、そういうことはやめにするの。大学に行って素敵な女の子と出逢っても、私が遼ちゃんの彼女でいたら、遼ちゃんはその子をはじめから好きになろうとしないでしょ?」
みのりの言おうとしていることがはっきりしてきて、遼太郎は取り乱し始めた。落ち着かなげにみのりの顔に視線をさまよわせ、唇を震わせる。
「先生と別れるってことですか?!……嫌です!!」
そう言いながら、遼太郎は首を横に振り、自転車のハンドルを握りしめた。
「俺は、ずっと先生のことが好きで、せっかく想いが通じ合えたのに……。それとも、やっぱり俺のことは、好きじゃなかったってことですか?」
――好きな人とじゃなきゃ、キスなんてしない…!!
みのりは遼太郎の問いかけに、本当はそう叫びたかったが、必死にそれを思い止まる。
――ごめんね…。遼ちゃん…。
目を閉じて、今から自分が遼太郎を傷つけようとしていることを心の中で詫びて、答えるための言葉を探した。