Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「俺と猛雄は附属から上がって来てるんだ。小学校からの腐れ縁だよ。狩野くんは?」
そう言った自己紹介を兼ねた身の上話をしながら、遼太郎は佐山を観察する。
樫原と違って、佐山はノーマルみたいだ。けれども、樫原の友達だから、そっちの系統の男かもしれない……。
そう言った男たちとつるむと、自分もそっちの世界に引き入れられてしまうかもしれない……。
そこまで考えが及ぶと、遼太郎の背中に嫌な汗が流れ始めた。その様子を、佐山は敏感に察知する。
「おい!狩野くん。もしかして、俺のことをゲイだと思ってんじゃないか?」
頭の中を言い当てられた指摘に、遼太郎はギクリとして目を見張った。
「えー、狩野くん、そう思ってるの?晋ちゃんはゲイじゃないよ。こう見えてけっこうプレーボーイなんだから。」
樫原が驚いたように、横から口を挟む。
「猛雄!お前のせいで、狩野くんはそう思ってるに違いないんだぞ!お前、猛々しいオスって名前のくせに、いい加減その女みたいな話し方やめろよ!」
佐山はそう言いながら樫原の両頬を、両手でつねった。
「いやーん!晋ちゃん。やめて!」
「そのしゃべり方が、女みたいだっつってんだよ!!」
樫原が女みたいなのは、話し方だけではなく、仕草の一つ一つからにじみ出るもの全てが女っぽい。