Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりは抗う術もなく、言われるがまま、蓮見の車の助手席へと乗り込んだ。
夕焼けが空を覆う西へと向かって、車はすべるように走り出す。みのりはバッグを膝の上に置き、その上にきっちりと両手を重ね、体を硬くした。
この状態はすでに、お見合いではなくデートだ。
それを意識すると、ますます気分が重たくなる。けれども、その本心は覚られないように、ずっとにこやかにしていなければならない。こんな状態で食事を共にするなんて、いくら料理がおいしくとも、それはまるで拷問のようだ。
体の底から湧き上がって、口を衝いて出てきそうになる溜息を、みのりは必死で押し殺した。
「……みのりさんのご都合も考えずに、レストランを予約してしまいましたが、もしかしてこの後、何かご予定がありましたか?」
みのりが浮かない顔をしているのを察知して、運転をしている蓮見が声をかけてきた。
「いえ。何もありません。」
いっそのこと、ここで引き返せるほどの火急の用事などが入ってくれれば、どんなにいいだろう。
「そうですか。じゃあ、よかった…。お仕事が大変で、お疲れなんじゃないですか?」
「いえ、大丈夫です。連休中は、仕事をしていませんから。」
御堂夫人がいなくなり、初めて二人だけで会話をすることになって、みのりは気まずさのあまり素っ気ない感じで答えてしまった。