Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「それじゃあ、申し訳ありませんが、もう少し僕にお付き合いください。そんなに夜遅くならないようにします。」


 それを聞いて、みのりはハッとした。
 蓮見には何の落ち度もないのに、一方的に気を遣わせてしまっている自分が、とても恥ずかしく感じた。


 どんな事情があるにせよ、ここに一緒にいるということは、お互いの立場は対等のはずだ。この後、結婚する意志がなくとも、今この時間だけは、蓮見にも心地よく過ごしてもらわなければならない。……それが、大人の女性の対応というものだ。


――…この人は、職場の同僚よ……。


 みのりはそう思うことにした。職場の同僚だったら、出張先や仕事帰りなどに、共に食事をすることだってある。

 そう思い直すと、幾分気分も軽くなって、みのりは普通の会話くらいはできる感じになった。


「みのりさんは、僕より2つ年上だって聞いていましたが、そんなふうに見えませんね。」


 蓮見から持ち出されたこの話題に、みのりは敏感に反応した。


「えっ……?!私の方が年上なんですか?」


 初めて知るその事実に、みのりは驚きを隠せない。
 お見合いを申し込んでくるくらいだから、自分と同年齢か、蓮見の方が年上だと思い込んでいた。男性で20代だったら、まだ結婚を焦る年齢でもないのに、何を好き好んでお見合いを申し込んできたのだろう。


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