Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
蓮見は見るからに真面目そうで、典型的な草食系の男だ。柔らかい物腰に接して、きっと優しくていい人なんだろうと、みのりは感じ取った。
そして、愛想笑いとは裏腹に、心の中で顔をしかめる。
――……困ったな……。
断る理由が見つけられない…。
どんな理由があったにせよ、こんな蓮見を跳ねつければ角が立ちそうだ。だからこそ、この蓮見は〝ヤバい〟相手なのだ。
「それじゃあ、後はお二人でお食事にでも行かれたらどうですか?」
御堂夫人からそう言葉を投げかけられて、みのりは固まってしまった。
――ええっ!!?ここで終わりじゃないの?
ここでの小一時間を我慢すれば解放されると思い込んでいたみのりは、想定外のことに目を瞬かせた。
「はい。隣町のイタリアンレストランに予約を入れてますので、そこで食事をしましょう。」
蓮見がそう答えながら、みのりへと優しく笑いかける。
予約まで入れているなんて、夕食を共にすることは、蓮見は初めから想定していたことみたいだ。
当然、断れるような雰囲気ではなく、みのりは同意の意味の微笑みを作るしかなかった。
「みのりさんの車は、ここに置いたままでいいからね。」
御堂夫人はそう言って、自分の仕事はここまでとばかりに、にこやかに送り出してくれた。