Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
愛は、椅子から立ち上がらんばかりに身を乗り出した。
真剣な目をした愛にそう訴えられて、みのりもため息を吐き、思いをまとめて口を開く。
「……その人とじゃなきゃ、自分は生きていけない…。自分の一部のように何でも一緒に喜んだり傷ついたりして……。その人の全てを、何の疑いもなく信じて…。自分の命より何より、その人のことが大切で、その人のためなら、自分の人生の全てだって捧げられるくらいの想いを、本当に好きになる…って言うんじゃないかな。」
そんなふうに語りながら、みのりの思考の中に一つの面影が浮かび上がる。
いつもみのりを見下ろして、優しく微笑んでくれていた遼太郎――。
その像がはっきり姿を現すと、みのりの胸に切ない痛みが走る。その痛みに耐えようと唇を噛んで息を止めると、涙が両方の目から零れ落ちた。
「……みのりちゃん」
みのりの頬を伝う涙を見て、愛は驚いて息を呑んだ。みのり自身もうろたえて、顔を逸らして手の甲で涙を拭う。
こんなふうに生徒の前で泣いてしまうなんて、不覚だとは思ったが、一度堰を切った涙はそう簡単に止まってくれなかった。
「みのりちゃんには、そんなふうに想える人がいるんだね。」
愛はみのりの心が伝染したのか、同じように切ない目をした。