Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…ごめん。次からは気を付けるよ。」
こんな時、遼太郎は反論することもなく、素直に謝ることにしている。それでも、その素直さを、彩恵はすんなりとは受け入れられない。
「それに…、いつも私ばかりメッセージ送ってて…。どうして、狩野くんの方からメッセージ送ってくれないの…?」
これを聞いて、一瞬遼太郎は言葉を逸する。何も用もないのに、どうしてメッセージを送る必要があるのだろうか。
「…俺はあんまり、他の誰ともメールとかしないから。」
「私は、他の誰かと一緒なの?!」
その言葉の意味するところを考えて、遼太郎は眉をひそめた。
一緒だとは、もちろん思っていない。彩恵は自他ともに認める、遼太郎の〝彼女〟だ。
「ノリちゃんの彼氏なんて、毎日何度も連絡くれてるのに…。」
この一言は、ピクリと遼太郎の癪に障った。ノリちゃんというのは誰なのか、遼太郎は知る由もないが、どうやら彩恵の友達らしい。
――他の誰かと比べるなんて無意味だ……。
彩恵が自分を他の誰かと比較することも、遼太郎自身が他の誰かと比較されることも。他の誰かの存在は、自分の幸福を量る材料ではない。
そう思ってしまうと、遼太郎の表情はますます険しくなる。けれども、遼太郎は唇をキュッと噛んで、胸の奥にモヤモヤと立ち込めてくる感情を押し込めた。