Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――…これは、俺に課せられた〝宿題〟だ。
これも、みのりが言っていた『いろんな経験』の一つで、自分を成長させてくれる大事な要素なのだと、遼太郎は自分に言い聞かせる。
どう言えば、彩恵を安心させてあげられるのか考えて、口を開いた。
「ごめん。俺、そういうことに疎くて…。不安にさせてたんなら、悪かったと思う。これからはちゃんと連絡するよ。」
心に鎧をまとって、彩恵に向き直る。悪気がなかったと解ってもらうために、曇りのない笑顔を作った。
「…うん…。」
遼太郎の笑顔と真剣な口調に、彩恵は少し不安を残すような面持ちで、一つ頷いた。彩恵のこんな顔を見ると、駄々をこねるようなことを、言いたくて言っているわけではないことは分かる。
けれども、冬の足音が聞かれるようになるにつれて、二人きりになると、たびたびこんなふうに不穏な雰囲気が二人を取り巻いた。
そんな会話をしている内に、ほどなく最寄りの駅に到着した。
彩恵も地方から出てきている学生だったが、電車に乗って、少し郊外から通学してきていた。ここからは、電車を乗り継いで帰らなければならない。
「それじゃ。」
と言って、遼太郎が見送ろうとすると、彩恵は逆に遼太郎に近づいてうつむき、モッズコートの袖口をギュッと握った。