Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「だったら、野球だとそうはいかねーぞ。俺は、遼太郎よりかっ飛ばせる自信がある!」
「あ!晋ちゃん、言ったね?それじゃ、対決してみてよ。僕、狩野くんがバッドを握るところも見てみたいし♡」
「よし!じゃあ、バッティングセンター行って、対決だ!!いつ行く?」
と、樫原と佐山の間で、勝手に話が決まっていく。
遼太郎は別に異を唱えることもなく、着替えを済ませながら屈託のない二人の会話をただ楽しんだ。
けれども、ここでの約束はその数日後、怪しい雲行きを運んでくる。
「狩野くん。今日の講義が終わった後、渋谷で買い物したいの。一緒に行ってね?」
そう声をかけてきた彩恵の前で、男3人は顔を見合わせた。
「彩恵ちゃん、残念!今日、狩野くんは僕たちとバッティングセンターに行くことにしてるんだ。」
この樫原の言葉に、彩恵の表情が曇る。
「…ホントなの?」
遼太郎を見上げて、彩恵が確認する。
「…うん…。」
遼太郎は肩をすくめて、樫原に同意した。
彩恵は下唇を噛んで、一歩遼太郎へと歩み寄る。
「じゃあ、狩野くんは樫原くんたちと行っちゃうの?」
何かをねだる時にする仕草。うつむいて、遼太郎の袖口をギュッと握った。