Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
切なく心が絞られて涙が滲んできたのをごまかすように、みのりは口角を上げて、遼太郎へと微笑みを向けた。チラリとそれを見た遼太郎は安心したように、視線を前方へと戻した。
遊園地へ着くと、まだ春休み前だというのに暖かな陽気に誘われてか、けっこうな人出で賑わっていた。手首にフリーパスのビザバンドを付けてもらって、園内に入る。
パステルカラーの建物に、気分が自ずと高揚するような音楽。そこには現実を忘れられる別世界が待っていた。
「どこから、行ってみますか?」
遼太郎が手渡された園内の見取り図を開きながら声をかけると、みのりはそれが耳に入らなかったのか、ただ空をじっと見上げていた。
不意に遼太郎もみのりと同じように、空を見上げる。
――…うっ…!
空気が暖かいので気が付かなかったが、空は一面の分厚い雲に覆われている。芳野を出るときには薄日も射していたので、天気のことは気に留めていなかったけれども、これはもしかすると雨に降られてしまうかもしれない。
遼太郎は、今日の天気をチェックしてこなかった失態を、今更ながらに悔いた。
「…天気、悪くなりましたね。」
申し訳なさそうな遼太郎の言い方に、みのりが振り向いた。