Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりがそう語る間、俊次はズボンのポケットに両手を入れ、みのりから視線を逸らして俯いていたが、耳はしっかりと傾けてくれていた。
「……そうかもしれないけど……。俺、強くなれる自信がない……。」
俊次がポツリと言ったその一言を聞いて、みのりは俊次の心の中の葛藤に気づく。
入学したと同時、いや合格直後から、色んな部活動の顧問や先輩から怒涛の勧誘を受け、俊次は逆に物怖じしてしまったのだ。期待が大きすぎる分、期待に応えられなくて失望されることを恐れて…。
「最終的には俊次くんが決めることだけど、今みたいに逃げ回ってても何も変われないし、何も自分に残してあげられない。練習はきついかもしれないけど、それを乗り越えられた時に少しずつ自分の中に何かが積み重なっていって、たとえ周りの人が期待するような結果が出なくても、俊次くんの中には大事なものが残されていくと思うよ。」
みのりは心を込めて、俊次に言葉を投げかけた。
かつて遼太郎を励まし、勇気付けたように、俊次の力になりたいと思った。そして、こうやって俊次と関われると、その向こうにいる遼太郎ともつながっていられるような気がした。