Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 俊次の思考が方向転換したことに、みのりは心の中で『よし!』と拳を握り、敢えて初めからラグビー部は出さないで説得を続ける。


「…そうきょくぶ…って?」

「筝って、楽器の琴のことよ。女の子ばかりだけど、男の子が入部しても変じゃないし。」

「はあ?!…琴だって!?」

「筝曲部はダメ?」

「だって、俺が琴を弾いてるとこなんて想像できる?!…やっぱ、俺を活かせるのはスポーツだと思うし…。」


 そうつぶやく俊次は、しっかりと自分の特性を把握しているようだ。


「そっか、それは残念…。じゃ、何がいいかな?中学校では何をやってたの?」

「…中学校じゃ、野球をやってたけど…。俺、もうあんな感じでシゴかれるのはイヤだ。」


 俊次のその言葉で、みのりはだいたいを察して頷いた。

 俊次が部活動をためらうのは、この中学時代の辛い経験に由来するのだろう。高校だともっと本格的になる分、もっとひどくなると思い込んでいるのかもしれない。

 けれども、どの部もほしがる俊次のこの体躯が作り上げられたのも、俊次の言う〝シゴキ〟の賜物に他ならない。


「コーチから言われたことを嫌々やってるようじゃ、それは『シゴかれる』ことになるだろうね。でも、それは強くなるために必要なことだから、コーチも要求してるわけだし、自分から『強くなりたい』ってモチベーションを持てば、練習の辛さも変わってくるよ。」


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