Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
それなら遼太郎は、本当の愛を求めて彷徨う佐山に、逆に教えてあげたかった。
本当に心の底から人を好きになり、その人の全てを愛することとは、どういうことかを――。
佐山の求めるものは、もう既に遼太郎の中に存在していることを――。
しかし、遼太郎は間もなく、自分のしようとしていたことを少し後悔することになる。やはり佐山が懸念した通り、道子といても常に居心地が悪かった。
それは、彩恵と付き合っていた時に感じていた、気まずさの比ではない。思わず逃げ出したくなるほどの、苦痛なのだ。
教職課程の講義も取っていた遼太郎にとって毎日の日課はとても忙しく、空いている時間や放課後はとても貴重な時間なのだが、道子は〝彼女〟になったのを口実に常に遼太郎を拘束した。
――この人、3年生なのに、就活はどうなってんのかな…?
目の前でランチを食べる道子を見ながら、そんなことが遼太郎の頭を過ったが、“深入りしたらマズい”という本能が働いて、何も道子のことは詮索しなかった。
「食べてるところ、そんなにじろじろ見ないでよ。」
いきなり道子から、そんな風に言われて、遼太郎は面食らう。
――じろじろ見たり、してねーよ!自意識過剰なんだよ!
心の中でそう思ったが、相手は一応先輩なので言い返さないでおく。