Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
見てないことを証明するために、遼太郎は生協のランチルームから見える紅葉した木々に目をやった。
みのりと〝ご褒美の焼肉〟を食べに行ったのは、もう少し季節の進んだ頃だった。
あの時、みのりが食べ物を口に運ぶ…たったそれだけのことでさえ、本当に美しくて可愛らしくて、遼太郎の胸はドキドキと高鳴った。
食事をするという生理的な行為は、遼太郎のすべての感覚をかき立てて、もうそこから目が離せなかった。
〝彼女〟と食事をするということは、本来そう言う感覚を伴ったものなのだと、遼太郎は改めて思う。
「だいたい、狩野くん。食べるのが早すぎなのよ。女子は食べるのが遅いんだから、それに合わせてゆっくり食べてよ。」
道子のドスの効いた声に現実に引き戻され、遼太郎は一つ溜息を吐いた。
――…食べるのが遅い…ってか、食べる量が多すぎるんじゃねーの?
道子から言われること一つ一つが癪に障り、遼太郎は思わず心の中で苦虫を噛む。
しかし、遼太郎でなくてもそう思ってしまうほど、本当に道子はカフェテリアの料理をあれもこれも、トレーに載せていた。
きっと、道子は直感的な欲求に素直なのだろう。食欲に対しても、……性欲に対しても…。
遼太郎は、道子が食べ終わるのを黙って待ちながら、目の前の道子を観察し、そんなふうに分析した。