Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
その顔を遼太郎に見せた瞬間から、道子はもう遼太郎の前で、自分を僻(ひが)んで、不機嫌そうにひねくれた顔ができなくなった。
「……よ、4時には終わる予定だけど……。」
道子らしくない、弱気で可愛らしい声を出す。遼太郎はそれを聞くと、ほのかに笑って頷いた。
道子がインターンシップに参加していたのは、遼太郎は聞いたことのない会社だったけれども、少し調べてみたら、ちゃんと東証一部にも上場されている総合商社だった。
遼太郎は約束の4時には会社の玄関前に着いて、道子が出てくるのを待った。
これから〝彼女〟とデートをするというのに、全くと言っていいほど心が浮き立たないのは何故だろう…。これからの展開を、あれこれ思い描いてみて…、ため息しか出てこない。
変な緊張に体が縛り上げられて、遼太郎は胃が痛くなりそうだった。
インターンシップに参加していたリクルートスーツを着た学生が、ぞろぞろと出てきたので、その中から道子の姿を探す。
小柄で小太りな道子は比較的目立ちやすく、見落としはなかったと思うが、そぞろ帰っていく学生たちの中に、結局道子の姿を見つけられなかった。
スマホを取り出し、時刻を確認すると、もう4時半になろうとしていた。