Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
ふと道子が、2階に通じる階段の小さな入口の前で立ち止まった。階段を上り、中に入って行こうとする。
遼太郎は道子の後に続く前に、2階の店舗を見上げて何の店か確かめ、目を剥いて道子を制止した。
「…ど、どこに行くつもり…、何をするつもりですか…?!」
階段の下から、薄暗い階段を上っていく道子の背中に向かって叫ぶ。
「どこって、そこに書いてあるでしょ。『レンタルルーム』よ。一つの部屋を借りて、男女がすることって、……決まってるでしょ。」
あまりに突拍子もない道子の行動に、遼太郎の心臓はいきなりナイフを突きつけられたように反応し、バクバクと激しい鼓動を打ち始めた。
嫌な汗が噴き出して、体がすくんでしまう。
「……な、何を言ってるんですか。本気なんですか?」
「本気も何も、付き合ってるんだったら、当然じゃない。狩野くんはそのために、私の『彼氏』になってくれたんでしょう?」
――冗談じゃない…!!死んでも嫌だ…!!
遼太郎は心の中で叫んでいた。
好きでもない女に触れる…そんな漠然としたものではなく、道子とその行為をしている具体的な想像に、身の毛がよだった。ただ欲望に駆られて動物のように交わるなんて、絶対に嫌だった。