Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 いっそう優しげな笑みを含んだみのりの眼差しが俊次を見上げると、俊次の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


 厳しい言葉をかけられたのが、それほどショックだったのか、それとも優しい言葉に心が震えたのか…。


「そりゃ、こうやって直接関わるようになれば、去年のように楽しい話ばかりしているわけにはいかないわ。…さあ、ここに座って。」


 みのりは、渡り廊下に設置されている長机とパイプ椅子の一つを指し示した。


「勉強が解らなくなると、学校にいること自体が本当に辛くなってくるの。前にも、部活は続けたいと思ってるのに、学校を辞めていったラグビー部の生徒がいたわ……。」


 みのりは遼太郎と同時期にラグビー部員だった「荘野」のことを思い出して、その時の後悔を繰り返したくないと思った。少なくとも、遼太郎の弟の俊次には、そんなふうになってほしくない…。


 そんなみのりの思いを感じ取って、俊次も殊勝な面持ちでパイプ椅子に腰を下ろした。


「『どうせ、できない』って諦めたら、それで終わりよ?できそうにないことをやろうとするのは苦しいことだけど、逃げたら自分の可能性も断ち切ることになるの。ラグビーでも同じじゃない?あんなにキツイ練習を毎日やってるのは、そういうことでしょう?」


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