Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「これで、もうからかってこなくなると思うよ?もし、また何か言われたら、俺に言ってくれればいい。」


 “ふとどき者”たちを退治してくれた遼太郎が、別人のような笑顔で樫原に歩み寄ってくる。

 樫原は安心するどころか、この遼太郎の親切に却って泣きたくなるような気持ちになった。


「…でも、このままじゃ、あいつら狩野くんのことを『ゲイ』だって思っちゃうよ?」



 そんな樫原の心配を、遼太郎はいっそう明るい表情でフッと笑い飛ばす。


「あんなヤツらにどう思われようが、別に気にすることじゃない。」


 それから遼太郎が見せてくれた笑顔。
 全てを無条件に受け入れてくれるような笑顔を見た瞬間、樫原は自分の中の何かが覚醒したような気がした。

 図書館のエントランスを横切って、中に入って行く遼太郎を目で追いながら、その「何か」が逃げていってしまう前に捕まえようと、思わず声を上げる。


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