Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
由起子の背中が見えなくなって、みのりは混乱した思考のまま、蓮見に返事をしなければならなかった。
「…あの、…えっと。分かりました。私も今、近くにいるので…。弥栄神社で待っていればいいですか…?」
不意のことに、みのりは狡猾な対処ができず、これから蓮見と会うことになってしまった。
そもそも、善良そうで誠意をもって接してくれる蓮見には、伊納に対したように、駆け引きをしたり謀略を用いるなんてできない。
みのりは、七月の長い日がようやく傾き夕陽が照らす賑やかな街の中を、その心の重さを表すように、一人ゆっくりと歩いた。
もちろん、蓮見に会うことは気が進まない。でも、いつまでも逃げ回ってもいられない。
もう二度とこんなふうに二人で会ったり誘われたり…なんてことがないように、きちんと蓮見には言っておかなければならない。
『いつまでも私にこだわってないで、結婚は他の人と考えてください』…と。
弥栄神社に着くと、境内にも露店が立ち並び、祭りの見物客で既にごった返していた。
待ち合わせ場所にしたのはいいけれど、これではお互いを見つけだすのは難しいだろう。
みのりは仕方がなく、比較的人がまばらな藤棚の下に落ち着いた。
ここにいて、蓮見が見つけてくれなければ、それでもいいと思った。いっそのこと会えないまま、蓮見が諦めてくれたらいいとさえ思った。